木枯らしの姉は、真っ白な大理石のような氷の広間に通されました。
そこでは、ペンギンの執事が『ようこそ、おいでくださいました。大王様がお待ちしておられます。』と慇懃に申しました。
木枯らしの姉は、身を固くして『大王様が私になんの御用でしょう。』と恐る恐るペンギンの執事に聞きました。
すると、ペンギンの執事は『おや、まあ何もご存知ないので、この前の貴女様の演説を聞いて大王様は大変興味を持たれ貴女様をお呼びになったのです。』と申しました。
木枯らしの姉は驚いて『演説!そのようなもの、私はした覚えはありません。』と答えました。
ペンギンの執事は、ニヤニヤ笑いながら『おや、まあ!忘れておいでですか。貴女様は木枯らしの弟君とお話ししていたことがあったでしょう。
その時のお話が、大王様の元まで聞こえてきましてね。
それを聞いた大王様は、大変興味を持たれたわけです。』と申しました。
それを聞いて姉の木枯らしは身の縮む心持ちでございました。
かしこまった木枯らしの姉を見てペンギンの執事は、ほっと頰をゆるめると『そんなに固くならないで下さい。
大王様は貴女様とお話をしたいと申されておるのです。』と優しく言いました。