ある晴れた日、カラスのゴンは上機嫌で電線に止まっていました。カラスのゴンは「丸、丸はどこだ。おーい、丸、どこだい?」とキョロキョロと地面を眺めています。
丸は、日なたぼっこして毛づくろいをして家に入ろうとしたら呼ばれたのでした。
「ありがとう、丸。おばあさんがすっかり元気になったよ。チカコさんにもお礼を言っといて欲しい。」とカラスのゴンは、お礼を述べました。丸は「あれはチカコさんんじゃないよ。カナ子さん!すごい美人だよ!」と急いで訂正しました。
「チカコさんじゃないの?別の人?おばあさんはびっくりするぐらい元気になったよ。本当にありがとう!」と言いながら、カラスのゴンはおばあさんが元気になったのだから、チカコさんだろうがカナ子さんだろうがもう、どっちでもいいと思いました。
丸は「私、びっくりしたわ。そしてちょっと理解できなかった。普通は、あんなとこに育ったら、前向きになれないんじゃないかな。きっとおばあさんは驚いて元気になったのよ。」と言いました。
カラスのゴンは、「あんなとこって、どんなとこなの?」と丸に聞きました。「なんか、子供の時、ご飯を満足に食べさせて貰えなくて、しょっちゅう殴られて、家から追い出されて、野宿していたって言ってた。」と丸は、カラスのゴンにカナ子さんの説明をしました。
「それって、ちょっと酷くない?そんな事をされたら、オレは死んでしまう。」と、カラスのゴンはビックリです。
「でしょ。それがお日様みたいに明るい人で、その明るさでおばあさんを元気にしちゃったのよ!」と丸は呆れて言いました。
「オレも会いたいな。そのカナ子さんに。」とカラスのゴンは呟きました。それを聞いて「今度の日曜日に家にくるよ。なんか茶々という猫も一緒らしい。」と丸はカラスのゴンに教えました。
「茶々が来るの!?あの肝っ玉ばあさんが!?」とカラスのゴンもビックリです。「茶々さんは、おばあさんなの!?」と丸もビックリです。
「茶々はここいら辺を取り仕切っている大姉さん猫だよ。オレの生まれる前から、いるんじゃないかな。人間に懐く猫じゃないけどな。」とカラスのゴンは思案顔です。
カラスのゴンは、カナ子さんがますます解らなくなって思考が停止しました。丸も「何であんなに幸せそうなのか解らない。謎だわ。」とため息をつきました。でも、カナ子さんがいる限り、チカコさんは大丈夫だと思いました。
カラスのゴンはおばあさんの家に来ました。カラスのゴンは、家の守り人のリーダーにカナ子さんの一部始終を聞いて「それ、本当の話なの?」と唖然としました。
家の守り人のリーダーは「私は泣いてしまったです。涙が溢れて溢れて止まらなかったです。」と、そこまで言った時、家の守り人達は口を揃えて「そして、恋しちゃったんだよねえ。」と言って家の守り人のリーダーをからかいました。
「恋なんて滅相も無い。尊敬したんです。私は胸をキュッと締め付けられて尊敬したんです。」と家の守り人のリーダーは、しどろもどろです。家の守り人の皆は「それが恋なのよ。」とはやします。
カラスのゴンは「お前、カナ子さんに惚れてるの?」と家の守り人のリーダーに聞きました。家の守り人のリーダーは「違います。尊敬申し上げているだけです。」と答えました。
カラスのゴンは(なんにしろ、人を好きになるのはいい事だ。オレもトンちゃんがいるしめでたしめでたし)と思いました。
カラスのゴンは(だけど、これだけオレ達をキリキリマイマイさせているカナ子さんは何者だろうか。カナ子さんがフクロウのポウ様が言っていた目覚めた人間なのかな?
でも、フクロウのポウ様は、目覚めた人々と言っていた。カナ子さんは、目覚めた人々の一人なのかな?
今度の日曜は楽しみだ。恋人のトンちゃんと見に行こう。)と、ニンマリしました。