猫物語45 必死の1人がいる!

 空は、晴れわたった。

私は、蘇生した。

一年あまり、かかったけれど

私は、蘇生した。

余命一ヶ月の末期ガンの私に

夫は

「死んでしまへ!」

「野たれ死ね!」

と、のたまった。

サイフの中に30円しかなくて

よわい99才のネタキリの母を抱えて

私は、私の余命に向きあうしかなかった。

母のオシメを前に私は、いざりながら涙を流した。私は、もう、立てなかった。

私の主治医は

「君が、今の状況に感謝できたら

 君の人生は、変わるだろう。」と、言った。

私は、声を失い、喉の筋肉は、脂肪となった。

あごのちょうつがいが、はずれた。

物が、飲みこめなくなった。

全身に発疹が、出始めた。

胸部を、除いて発疹が熱と共に出た。

どこからか、井伏ますじの山椒魚の文章が私の耳に聞こえてくる。

「もう、だめなようか?」「もう、だめなようだ。」

私は、ふんばった。

身体が、ジンジンしてきた。

寒さと共に発疹が、消えた。

ふくらはぎに落ちる血の温かさを知る。

私の足は、2021年をもって自由を失った。

私は、天をあおいだ。

この草創の母を一人淋しくいかせられない!この母をしあわせに!この母に天上の曲を聞かせねばならない!

いまや、この母と血が、つながっているとかいないとか!関係なかった。

一発逆転の極意、発想の転換が、求められる。

テレビの画面の中で、プーチン大統領が、嘘という嘘を、つきまわっている。それを見ながら私は、夫が、「更生したくない!」と、言った顔を思いだしていた。第23のプーチン大統領を育ててはならない。

夫は、「更生したくない!」そう、私に言い放って、タイホされていった。

ネタキリの母を抱えた私は、身体がどんなに疲れていても八つ当たりは、できない。なぜなら私は、弱者に対して絶対的権力者なのだ。そう、私は、プーチン大統領の立場にいた。

考えてみてくれ!君よ!

プーチン大統領は、やさしいやさしい顔をして人を殺している!プーチン大統領は、真面目な顔をして世界を相手に嘘をつき続けている。

考えてみてくれ!君よ!

もし、私が同じことをやったら、殺人罪で私の両手に手錠が、かかる。

考えてみてくれ!君よ!

権力の座にいるものは、人を何人殺してもどんなに嘘をつきまとっても白を黒と言えるのか! 否、否、否だ!

あなたの神は、人殺しを、容認するのか!

私達は、何者に対してであれ弱者に対してプーチン大統領と同じ権力者になれるのだ!弱者に対して絶対的権力者になれるのだ!

夫に「死ね!」と言われて

私は、初めて自分の愚かさに気づけた。

「ありがとう!」おかげで慢のコートをぬげたよ!君を人間にしないわけにはいくまい。

今日も、ミャンマーでアフガニスタンで、ウクライナで人が殺される!

生命ほど尊いものは、ない。

権力者は、民衆を恐れ凶暴になる。

「おとなしくしないと、ひどいめにあわせるぞ!」権力者は、人を恐れて手を血で染める!

独裁者である彼には、民衆なんてゴミだ!

でも、彼らは弱い!

だから、核のおもちゃを、ほしがる!

友よ!非道になればなるほど

海は怒り大地も荒れ狂う!

山は燃え、地球は破滅に向かう!

友よ!君がじゅう性を押え人となるとき

地球は味方する。

友よ!私は、後一ヶ月の余命を前にして

私は、私の無慈悲を乗り越えた。

母のオシメをかえながら

私は、ウンチになった。

私は、オシッコになった。

友よ!私は、それでいいと思っている。

生命ほど尊いものはない。

友よ!生命は、無限だ。

私が私の無慈悲を乗り越えた時

私の中の病理は、消えた!

私が、大確信を得た日に

あなたは、娘の成長を見届けるように

笑いながら逝った。

私の色留袖を着て

キンランドレスの帯をしめて

あざやかに逝った。

今日、夫から手紙がくる。

来年7月、出所の予定。

更生を目指してがんばると、

手紙が、来る。

私は、温かい御飯と

温かい寝床を

用意して、祈る日々!

夫は、女とは別れたと言った。

私は、女であることをこえて

夫の生命を愛しいと感じた。

そして、夫の苦しみを孤立をわかってあげられなくて「ゴメンネ!」と伝えた。

私は、彼を信じて信じて生命のはたをふり続けよう!

母が私を信じて育ててくれたように!

私は、師の心に

応えるべく

本物の人間となって光輝こう!

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