「丸ちゃんと言ったかしら?あなた、この家の子になるつもり。」蓮は、シャナリ シャナリと丸に近づいてきます。丸は、オズオズと「そのつもりです。」と答えました。「そう、ちょうどよかったわ。私は、この家を出て行くのでよろしく!」と、こともなげに蓮は丸に言います。
丸は、びっくりして「私が来たからですか。」と蓮に聞きました。蓮は、「冗談じゃないわ!なんでこの美しい私があなたに遠慮するのよ。」と真っ白な豊かな尾を振り振り気どります。
恐る恐る丸は、蓮に聞き返します。蓮は、「違うに決まってるじゃない。こんなに美しい私が、こんな貧乏臭い所にいられないわよ!あなたもそう思うでしょ!」と金銀と云われる瞳をキラキラさせます。
丸は、蓮を見てこの世になんて美しい猫が、いるのだろうかと思いました。真っ白です。顔も胴体も手足も尾っぽも全部真っ白です。
首にはキラリと光るものがあります。蓮は「あっ、これ。チカコさんにつけて貰ったの。ビーズよ、ビーズ。私は本物の石が欲しいわ。あなた サファイヤって知ってる?その石を私の首にかけたら素敵よ!」と、とくとくと語りました。
丸は、蓮の話を聞きながら、サファイヤは、知らないけどお前はアホかと思いました。
蓮は、話を続けます。「それに今日は、片付いているけどチカコさんは、ショックな事があると何も出来なくなるの。流しには、お皿が溜り出すわ。部屋には、あっちにもこっちにも服が脱ぎ散らかしてあるし、新聞が開げたままになっていて、コンビニの弁当空が散らばっているわ。とにかく汚部屋になるのよ。何も出来なくなると言っても仕事だけは、出かけるよ。食べられなくなるからネ。もう、私は汚ないのがダメなの。
だから、この家を出て行こうと思って別の飼い主を見つけてあるのよ。でも、チカコさんのショックを考えるとなかなか実行に移せなくて、そんな時にあなたが来たのよ。チカコさんのショックが少ないようにあなたにがんばって欲しいのよ。言っとくけどチカコさんは、底なしのお人よしだからネ。悪人につけこまれたら先はないわ。私は貧乏神とは縁を切るのよ。後はあなたに頼むわネ。」と蓮は丸にとんでもない事を頼みます。
丸は、考えます。(私も汚いのは嫌だ。まあ、今は私が臭いし汚い!誰に相談しよう。あっ、カラスのゴンがいる。トラ丸もラッキイも大猫の大将もふくろうのポー様も。第一に、人間のモカおばさんがいる。皆でチカコさんの役に立てないかな。問題の答は、ただ一つだけ。チカコさんが強くなればいいのだ。
私は、方法なんかなんにもわからないけど。皆で考えたら、何かいい考えがあるわ。この私だって皆に助けられてこの家に来れたんだもの。)と丸は心の中で思い蓮に「わかりました。」と答えました。