猫物語1 はじまりの章

あるところに深い森がありました。
とんがり帽子の軍団は
たいそう退屈しておりました。

杉の木A「なあ、お前、今日も昨日のようだぞ!」
杉の木B「そうだよな。もう、あきあきしちゃった。
あれっ、君の足元に丸いものがあるよ。」
杉の木A「えっ、あれは何だ。」
杉の木B「君、猫ですよ。」
杉の木A「生きているのかい?」
杉の木B「さあ、どうでしょう。
____「ちょうどそばに赤ゲラ君がいます。
____「赤ゲラ君 ちょっと見てみてよ。」
赤ゲラ 「生きてまさ
_____こいつは よーく眠っているだけでさー。」

赤ゲラは羽をバサバサさせて答えました。

赤ゲラ「あっしは 大猫の大将を呼んできまっさー」

それからしばらくして

赤ゲラ「大将こちらでさー。」
大将 「どれどれ」

大将は子猫をやさしくゆさぶりました。

大将「おや、この子はクサイね!肥溜めにでも落ちたのかい。
___それにガリガリだぞ。」

そして大将は心の中で思いました。
(もう、この子はこの冬までには持つまいよ)
と思いました。

大将が子猫をやさしくゆすると
子猫は うっすらと眼をあけました。
「あっ」
子猫は大きな大将の顔にびっくりして、思わず飛び上がりました。
大将は眼を細めて
「あっ、これこれ こわがることはない
おチビちゃんを助けるタメに わしは ここにおる。」

子猫はその言葉を聞いて
ヒィヒィ泣きました。
安心して いっぱい涙を流しました。