小さな奇跡

95歳の おばあさんが 腰を痛めて
一過性の寝たきりに なりました。

週の始め 月曜の朝

「腰が 動かん!
身体が動かん!
起きられん!」

アップアップする おばあさんがおりました。

娘さんは びっくりして
おばあさんのそばに飛んでゆきました。

すると おばあさんの布団のそばに
三つのお団子が ありました。

娘さんは もしやと どっきりしました。
そうです。もしやのもしやです。
それは まさしく立派なウンチで ありました。

おばあさんは お尻の違和感に 思わず
お尻を触ってウンチを引っぱり出したのでありました。

おばあさんの右手の親指と人差し指と中指には
ウンチが しっかり ついておりました。

娘さんは 私もお尻に違和感を感じたら
一緒のことをしたかもなーと。
ぼんやり 考えました。

そして あっとい間に
おばあさんをきれいにしてしまいました。

それでも おばあさんは
泣きそうな顔をしています。

娘さんは おばあさんに言いました。
「お母ちゃん ウンチもオシッコも
全部 私が 引き受ける
だから 私と二人 強くなろう!
お母ちゃん 何があっても 強くなって 生きのびるで!」

おばあちゃんは ちょっとびっくりして
ちょっと安心して 笑顔になりました。

娘さんは おばあさんにほおづりをして言いました。
「お母ちゃん 大好きやで!」

おばあさんも 負けじと
「ヒータン 大好きや!」と言いました。

そんな二人を 窓から 月がながめておりました。
目を細めて ながめておりました。

やがて 一ヶ月たつと
おばあさんは 歩けるようになりました。
楽しくトイレに 行けるようになりました。

95才のおばあさんが歩けるようになったのです。
これは小さな奇跡です。
おばあさんと娘さんの心が生んだ奇跡です。