雲間に 日は 輝く
女は 2本の腕を 突きだし
歓喜のおたけびを 上げた
竜王は 目を むいた
女は 400通のラブレターと
彼と 彼女の 秘めごとが
大海を 流れていくのを 見た
女の夫が 獄中から
彼女を 口説いたのだ
彼女は おちた
彼女は 永遠の愛を誓い
彼を受け止めた
女は 追いかけてくる 彼女の言葉に
ほほえみ笑いながら
大海原を かけてゆく
女は 大波に 勝ったのだ
女は 宿命に 勝ったのだ
女は 歳を とり
女には 老いしかなかった
女は 100歳を 目指し 立ち上った
そのとき 動かなかった
女の足は 動きだした
竜王は うなった
女は 動かない足を 動かし
地球を つかんだ
女は 絶望しなかった
女は 希望を 創りだした
何の為であれ 人間のすごさを 証明した
どこからか 聞こえる 風のたよりに
夫が 彼女の 被害届で
警察に とらわれたことを 知った
女は 男に 告げていた
『命をだきしめて帰っていらっしゃい!
いつまでも 待っているから!』
男の声が 聞こえる
『見捨てないで 見捨てないでくれ!』
女は 振り返り
『待っているよ!』と 手を上げた
女は 自分の幸福は
自分で 築くものと 決めていた
その為にも 戦争はいらない!
まして 人殺しなど したくない!
偉大なる 我が師に!