猫物語13 木枯らしの夜が明けて

木枯らしの夜は明けて、いつものようにお日様は、ニコニコと山の端から顔を出しました。小さな家の女の人は、夜が明けると同時に外に出て猫を探し回りました。

まず、隣の草ボウボウの空き地を見て「ニャーン」と呼んでみました。「シーン」と草の軍団は返事をしました。

次に彼女は小川を見に行きました。そこでも、また、彼女は、「ニャーン、ニャーン」と呼んでみました。小川の中から水の精が、これもまた「シーン」と答えました。

彼女は、もう考えつく所はくまなく探し回りました。「ニャーン、ニャーン、ニャーン」彼女は、何度も何度も子猫を呼びました。返ってきたのは静寂だけです。

それでも彼女は少しホッとしました。彼女は思いました。(きっと、親切な人に拾われたんだわ。あんなに寒かったんだもの。きっと、もう、拾われたんだ。よかった!よかった。まあ、私も食べていくのがやっとだし。)

見上げると西に傾きかけたお日様が少し笑っているように見えました。

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