猫物語17 モカおばさんの事(2)

モカおばさんは、深いため息を、つきました。そして、思いました。

(私は、私の中の悪を、認めているのか?)

自分は正しいと思っていないか。魔法界を、追放されても、その事に屈しない強い心を持つべきだったのだ。何が、起きても動じない強い心を持つことだったのだ。

それなのに、私は、世界が終ったように動揺して天を仰ぎ、地に我が身を投げだして怒り叫んだのだ。憎しみは悪へと続いている。私は、あの瞬間、身は、堕ちねども、心は堕ちたのだ。

私は、あの追放を喜ぶべきだったのだ。私は、せっかくの魂の脱皮のチャンスを生かせなかったのだ。

それどころか、身体の正常細胞を傷つけてガン化させたのだ。私は、何と愚かな人間だったのか!

私は、私のガン細胞に謝らなければ…。私の愚かさで、正常細胞をガン化させてしまってゴメンと謝らなければ…。

そして、誓わなければ…。何が、あっても動じない暖かい人になると…。私は必ずや、ガン細胞を正常細胞にしてみせる。

それが、私の生き方であり、何も持たない人間の底力だ!

さあ!陳列は整った。高らかに進軍ラッパは、鳴り響く!27兆の細胞の群団は、これから、喜びの歌を唄うぞ!

そこまで、思った時、モカおばさんは、コトンと眠ってしまいました。モカおばさんは夢の中で、イケメンのガン君に出会いました。

黒いフロックコートは、ガン君にステキににあいました。ガン君は、片手を上げて、モカおばさんに言いました。

「僕は、眠くなりました。

しばらく冬眠することにいたしましょう。

モカさん、あなたが 私利私欲で

動きだした その時こそは、

私は、あなたの生命を奪いましょう!

では、

よりよき人生を 祈ります。」

と、ガン君の声を聞いたとたんに、モカおばさんは、目を覚ましました。不思議な事に脇腹をさするとしこりが小さくなっていました。

モカおばさんは、より善き人になろうと思いました。

 

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