子猫はカラスのゴンの飛んでいった空のほうをポカーンと見つめていました。
そこへ猫のトラ丸が通りかかりました。
そして、子猫を見て声をかけました。
トラ丸「ねぇ、何してるの?」
子猫 「カラスのゴンさんが飛んでいってしまったの。」
トラ丸「カラスのゴンを知ってるの?」
子猫 「今までここにいた。」
トラ丸「ここにいたって、カラスのゴンはどこに行ったの?」
子猫 「木枯らし君とか言ってた。」
トラ丸「木枯らし君、木枯らし君を呼びに行ったの?」
子猫 「そう言ってた。」
トラ丸「と、いう事は今夜は寒いよ。」
子猫 「寒いって?」
トラ丸「何も知らないんだな。今夜は家の外にはいられないってことだよ。
___ 君はおうちはあるの?」
子猫 「ない。」
トラ丸「それは困ったな。外にいたら凍るよ!どうするか、、」
トラ丸はしばらく考えてから、子猫を連れてある所にやってきました。
トラ丸は大きな犬小屋の前で、大きな声で「ラッキィ」と呼びました。
小屋の中から「ウィ、ウーン、僕を呼ぶのは誰だい。」と、家主の声がします。
トラ丸は急いで「ボクだよ、トラ丸だよ、この前ラッキィの耳のウシロをかいてあげたトラ丸だよ。」と言いました。
ラッキィは小屋の中から首を出して
「アッ、あの時のトラ丸君か。あの時は助かった。ありがとう!
それでなんだい?」
と言いました。
トラ丸は思い切って「お願いがあってきたんだ。」と言いました。
ラッキィはちょっとびっくりして「ボクにできることならいいよ。」と答えました。
トラ丸は少し控えめに、それでもはっきりと
「実は、今夜一晩この子(子猫)を泊めて欲しいんだ。」
小屋の中から首を出して、トラ丸の話を聞いて、ラッキィはジロリとそばの子猫を見ました。
子猫はびっくりびっくりです。
子猫は、犬のラッキィの大きな牙を見て気を失ってしまいました。